INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
Lifullグループの全貌に迫る
人々の生活を満たす新ビジネスの集合体
株式会社ネクスト Lifull特集
※下記はベンチャー通信63号(2016年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
国内最大級の不動産・住宅情報サイトである『HOME'S』を運営するネクスト。
企業成長にともない、このサイト名や社名は広く浸透してきている。そんななか、同社は新たに「Lifull」というブランド名で、新しい事業領域をアグレッシブに開拓し始めた。その背景には、若手人材をアントレプレナーとして育てる狙いと、海外展開をさらに加速させる意図がある。ネクスト代表の井上氏にグループ戦略を聞いた。
企業成長にともない、このサイト名や社名は広く浸透してきている。そんななか、同社は新たに「Lifull」というブランド名で、新しい事業領域をアグレッシブに開拓し始めた。その背景には、若手人材をアントレプレナーとして育てる狙いと、海外展開をさらに加速させる意図がある。ネクスト代表の井上氏にグループ戦略を聞いた。
経営者を育成するには社長をやらせるしかない
―昨年7月1日、介護施設の検索サイトなど4つのサービスを子会社化。新たに「Lifull」ブランドでサービス提供を開始しました。狙いはなんですか。
2つあります。どちらも将来のグループ経営をどうするかを考えたとき、必要不可欠なことです。
ひとつは、スピーディーに経営の意思決定をする組織を目指しているためです。経済や社会の変化のスピードはますます速くなり、大きな組織では舵がとりきれなくなります。子会社がアメーバ的に増殖する組織のほうが、時代の変化に対応できます。それだけ意思決定の主体が多くあるわけですから。
もうひとつは、たくさんのアントレプレナーを育てるためです。私自身、ベンチャー企業の経営者として育ってきた。だから、この会社からたくさんのアントレプレナーを輩出したい。そのためには候補となるメンバーに、事業の責任者ではなく、社長としての経験を積んでもらわなくてはならない。そこでネクストのなかの事業部ではなく、子会社として独立させているのです。
ひとつは、スピーディーに経営の意思決定をする組織を目指しているためです。経済や社会の変化のスピードはますます速くなり、大きな組織では舵がとりきれなくなります。子会社がアメーバ的に増殖する組織のほうが、時代の変化に対応できます。それだけ意思決定の主体が多くあるわけですから。
もうひとつは、たくさんのアントレプレナーを育てるためです。私自身、ベンチャー企業の経営者として育ってきた。だから、この会社からたくさんのアントレプレナーを輩出したい。そのためには候補となるメンバーに、事業の責任者ではなく、社長としての経験を積んでもらわなくてはならない。そこでネクストのなかの事業部ではなく、子会社として独立させているのです。
―事業責任者と社長とでは、どう違うのでしょう。
意識がまったく違いますね。たとえばコスト管理について、典型的なことがありました。子会社の社長が集まる会議で、出席者への配布資料を、事務局を務めるネクストの担当者がコピーして用意したんです。ところが、「用意している」と事前に出席者へ伝えていなかったので、みんな自分の会社でコピーして持参してきてしまった。それでみんな猛烈に怒るんです。「ムダなコピー代を使ってしまった」というわけです。
これが、いち事業部の責任者だったら、「事務局で用意してくれたんですね。ありがとうございます」ぐらいの感覚でしょう。社長になると「自分の会社」「自分の財布」という意識が生まれる。「実際に経営しなければ経営者は育たない」ということです。
これが、いち事業部の責任者だったら、「事務局で用意してくれたんですね。ありがとうございます」ぐらいの感覚でしょう。社長になると「自分の会社」「自分の財布」という意識が生まれる。「実際に経営しなければ経営者は育たない」ということです。
メンバーが新事業を提案し社長になって実行できる
―ネクストの新規事業提案制度から立ち上がった子会社もありますね。
ええ。現在、「Lifull」ブランドとして国内で展開する子会社9社のうち5社は、新規事業提案制度「Switch」から生まれた会社です。
私を含む役員が審査員をつとめ、メンバーが自ら立案した事業をプレゼン。毎年100~150件ほどの提案があるなかから選ばれたプランを事業化していきます。
事業を軌道に乗せるまでに必要な資金を自分で算出させ、それをネクストが出資します。資金は出しても口は出しません。すべて社長に意思決定させる。そうでなければ、経営者の育成という目的が果たせませんから。
撤退の基準は明快で、資本金を使い切っても事業が軌道に乗らなければ、そこで終わりです。「ナイスチャレンジだったね」と声をかけて、また次のチャレンジの機会を探してもらいます。
私を含む役員が審査員をつとめ、メンバーが自ら立案した事業をプレゼン。毎年100~150件ほどの提案があるなかから選ばれたプランを事業化していきます。
事業を軌道に乗せるまでに必要な資金を自分で算出させ、それをネクストが出資します。資金は出しても口は出しません。すべて社長に意思決定させる。そうでなければ、経営者の育成という目的が果たせませんから。
撤退の基準は明快で、資本金を使い切っても事業が軌道に乗らなければ、そこで終わりです。「ナイスチャレンジだったね」と声をかけて、また次のチャレンジの機会を探してもらいます。
―新たに立ち上がった事業のなかには、主力事業である『HOME'S』の領域から相当に離れた分野を対象にしているものもあります。
そうですね。でも、どれも「あなたの『出逢えてよかった』をつくる」というネクストのコーポレートスローガンに合致しています。
過去に、「ソーシャルゲームをやろう」「FXを手がけよう」という事業提案もありましたが、不採用になっています。ゲームを通して教育的な効果をもたらすとか、FXを通してグローバルな交流が深まるとか、なにか理念に合致する価値を追求するのであれば、採用される可能性もある。
しかし、ただ「儲かりそうだから」「いまのトレンドだから」という理由では、私たちが手がける意味がまったくない。
過去に、「ソーシャルゲームをやろう」「FXを手がけよう」という事業提案もありましたが、不採用になっています。ゲームを通して教育的な効果をもたらすとか、FXを通してグローバルな交流が深まるとか、なにか理念に合致する価値を追求するのであれば、採用される可能性もある。
しかし、ただ「儲かりそうだから」「いまのトレンドだから」という理由では、私たちが手がける意味がまったくない。
今後リリースするサービスは国内も海外も「Lifull」で
―「Lifull」というブランドで展開している理由を教えてください。
グローバル化をにらんでのことです。
私たちがこれから事業の幅を広げ、地域を広げて本格的にグローバルに展開しようとするとき、「NEXT」や「HOME’S」というブランド名では難しい。普通名詞なので、商標登録できない国があるからです。
旧松下電工さんの例でいうと、ずっと「National」というブランド名で展開してきたのですが、これは一般名詞。さらなるグローバル展開には不向きという理由もあって、「Panasonic」に変えています。私たちもその例にならい、「Life」と「Full」から「生活を満たす」という意味の造語「Lifull」をつくりました。
このブランド名も社内公募から生まれたもの。ある若手の男性メンバーの発案です。今後リリースするサービスは、国内も海外も「Lifull」のブランドで展開します。
私たちがこれから事業の幅を広げ、地域を広げて本格的にグローバルに展開しようとするとき、「NEXT」や「HOME’S」というブランド名では難しい。普通名詞なので、商標登録できない国があるからです。
旧松下電工さんの例でいうと、ずっと「National」というブランド名で展開してきたのですが、これは一般名詞。さらなるグローバル展開には不向きという理由もあって、「Panasonic」に変えています。私たちもその例にならい、「Life」と「Full」から「生活を満たす」という意味の造語「Lifull」をつくりました。
このブランド名も社内公募から生まれたもの。ある若手の男性メンバーの発案です。今後リリースするサービスは、国内も海外も「Lifull」のブランドで展開します。
東証一部上場企業に入って起業にチャレンジできる
―今後の「Lifull」ブランドのビジョンを聞かせてください。
100社の子会社をつくり、そのトップを務める100人の経営者を輩出させます。その体制で100ヵ国に展開するグローバル企業を目指します。いまは子会社が16社で、展開中なのは46ヵ国。経営者を目指している人、海外で事業を起こしたい人には、まだまだ多くのチャンスがあります。
「将来は起業したい」と思っても、親や家族の反対で思いきれないという声をよく耳にします。しかし、東証一部企業であるネクストに就職することに反対は少ないでしょう。当社に入れば、資金のサポートを受けての起業や、海外での事業立ち上げにチャレンジできます。「これ以上、恵まれたアントレプレナーの養成場所はない」と自信をもって言えます。
「将来は起業したい」と思っても、親や家族の反対で思いきれないという声をよく耳にします。しかし、東証一部企業であるネクストに就職することに反対は少ないでしょう。当社に入れば、資金のサポートを受けての起業や、海外での事業立ち上げにチャレンジできます。「これ以上、恵まれたアントレプレナーの養成場所はない」と自信をもって言えます。
PROFILE
プロフィール
井上 高志(いのうえ たかし)プロフィール
1968年、神奈川県生まれ。1991年に青山学院大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートコスモス(現:株式会社コスモスイニシア)に入社。その後、株式会社リクルート(現:株式会社リクルートホールディングス)を経て、1995年にネクストホームを創業。1997年に株式会社ネクストを設立、代表取締役に就任。不動産・住宅情報サイト『HOME’S』を国内最大級の規模に発展させ、2006年に東証マザーズに上場。京セラ・KDDI創業者の稲盛和夫氏主宰の「盛和塾」で、全国の塾生の経営者のなかから優秀賞を受賞。著書に『「普通の人」が上場企業をつくる40のヒント』(ダイヤモンド社)がある。
企業情報
設立 | 1997年3月 |
---|---|
資本金 | 39億9,900万円(2015年7月現在) |
売上高 | 179億2,680万円(2015年3月期) |
従業員数 | 803名(2015年6月末現在) |
事業内容 | 不動産情報サービス事業、その他事業 |
URL | http://www.next-group.jp/ |
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