ゴエンキャピタル株式会社　代表取締役　前川拓哉

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出雲市(島根県)でクレーン建設業を展開している中島運輸機工は今年5月30日、M&Aにより業界大手企業の傘下に入った。このM&Aを仲介したのが、ゴエンキャピタルだ。中島運輸機工代表の中島氏は、どのような経緯からM&Aを選択したのか。また、その推進パートナーにゴエンキャピタルを選んだ理由とは。ゴエンキャピタル代表の前川氏を交えて、話を聞いた。

※下記はベンチャー通信89号（2023年9月号）から抜粋し、記事は取材時のものです。

「会社を譲渡し成長させる」、耳慣れない「M&A」に興味

―中島運輸機工ではどのような事業を手がけていますか。

中島：各種クレーンのリース業、運送業、建設工事の施工・請負業などを行っています。来年が創業70年の節目の年で、私がいま3代目の代表を務めています。昨年度の売上実績は約10億円でした。

―今回、M&Aを行うに至った経緯を聞かせてください。

中島：10年ほど前から事業領域の拡大に踏み切り、それまで5億円程度だった売上高が年々拡大していったのですが、ここ数年は10億円を超えたところで頭打ちの状態でした。さらなる成長や事業拡大のために、なにか新しいチャレンジができないか考えていたとき、神戸市のある同業者が「会社の成長に向けてM&Aで会社を譲渡した」という話を聞きました。そのような方法があるのかと興味を持ち、昨年よりさまざまな方々からM&Aの情報を集めました。なかでも前川さんから「企業成長のためのM&A」というキーワードを聞き、魅力深く感じました。

前川：「成長戦略型M&A」と呼ばれるものです。経営陣は退任せず、譲渡先の企業から自社の成長に足りないノウハウや資金を補うことで自社の強みを磨き上げ、さらなる成長へとつなげる手法です。中島運輸機工さんは財務状況も堅調で、中島さんも経営者のご年齢としては当時49歳とお若い。受け入れ先の企業は必ず見つかると判断し、M&Aの活用を提案しました。

―その話を聞いて、中島さんはどう感じましたか。

中島：経営体制を変えずに業績を伸ばすチャンスが広がるなら、会社にとってベストな選択だと思いました。会社の方向性を変えるプロジェクトであり、私にとっても初めてのことでもあるため、信頼できるアドバイザーに依頼したいと考えておりました。前川さんは、財務や会計・税務のほか、法務にも高い専門知識を持ち、M&Aに向けた経営改善のアドバイスも適宜行ってくれました。また、連絡をすればすぐに駆けつけてくれ、どんな小さな困り事でも誠実に対応してくれる「人間性」にも惹かれていました。「前川さんなら絶対に大丈夫」と信頼できたため、前川さんにM&A支援をお願いすることに決めました。

資産管理会社を新設し、交渉をスムーズに進める

―M&Aに向けて、前川さんはどのようにサポートしたのですか。

前川：中島運輸機工さんにとっては急を要するM&Aではないため、会社にとって一番メリットのある形で進められるスキームを、じっくり考えました。たとえば、本業とは別に賃貸用不動産や保険といった金融商品を所有していたため、本業とそれらを切り離し、金融商品のみを管理する資産管理会社の新設をアドバイスしました。手間はかかりますが、譲渡先の企業にとっては本業以外の「不要な部分」が除かれるため、交渉がスムーズに進みます。また、中島さんに将来的な相続が発生した際も、資産管理会社をつくっておくことで税務上の大きなメリットが得られる効果もあります。

中島：M&Aから約2ヵ月経ちますが、資産管理会社の件で相談したいとき、前川さんはすぐに島根まで駆けつけ対応してくれます。「M&Aの先まで見据えた支援」というゴエンキャピタルさんのモットーは、確かなものだと実感しています。

―中島さんは今後、会社をどのように成長させていく考えですか。

中島：今回、全国展開している売上規模200億円の同業企業にグループ入りしました。この環境を活かし、全国クラスの企業からさまざまなノウハウを学び、リソースも活用させてもらいながら、永続的に発展する会社にしたいです。前川さんには、資産管理会社の設立をはじめ、資産運用も手伝っていただいているので、私は本業に専念できます。今後も引き続きアドバイスしていただき、中島家の良きパートナーとして末永くお付き合いしていただければと思います。

前川：資産運用以外にも、中島さんの今後のより良い人生のためにサポートできる範囲を広げていきたいです。同時に、経営者として、また人生のうえでも「大先輩」である中島さんから、いろいろなことを学びたいとも思っています。そのためにも、一生寄り添っていける関係を築いていきたいです。

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PROFILE プロフィール

前川拓哉（まえかわたくや）プロフィール

1996年、群馬県生まれ。2018年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、株式会社日本M&Aセンターへ入社。入社3年目には全社営業成績達成率ランキング1位を獲得する。「M&A後まで見据えたコンサルティングファーム」として、2022年にゴエンキャピタル株式会社を設立、代表取締役に就任。

中島運輸機工株式会社　代表取締役社長　中島亮（なかしまりょう）プロフィール

1973年、大阪府生まれ。2003年、中島運輸機工株式会社に入社。常務取締役などを経て、2017年、代表取締役社長に就任。

ゴエンキャピタル株式会社企業情報

設立	2022年10月
資本金	100万円
従業員数	14名
事業内容	M&Aコンサルティング事業、資産運用コンサルティング事業、PMIコンサルティング事業
URL	https://goen-capital.jp/

中島運輸機工株式会社企業情報

設立	1977年6月（創業：1954年5月）
資本金	1,000万円
従業員数	80名
事業内容	各種クレーンリースおよび作業、各種トラック輸送、産業廃棄物収集運搬、一時保管倉庫業、建設工事の施工・請負
URL	https://www.nakashima-crane-transport.jp/

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