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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社U-NEXT HOLDINGS(※) 代表取締役社長CEO 宇野 康秀 

日本を代表するベンチャー起業家が見据える「次」

確実に起こる変化が見えている今は、起業家にとってこれ以上無いチャンス

株式会社U-NEXT HOLDINGS(※) 代表取締役社長CEO 宇野 康秀 

次なる成長ステージを見据え、グループ内外から「起業家人材」の結集・育成を図っているU-NEXT HOLDINGS(※)。そんな同社の中で、宇野氏が「稀有な存在」と評価する起業家人材が、グループ企業WannaEatを率いる牧本氏だ。学生起業家として事業をスタートした同氏がグループ入りしたのが2022年。今や、新たな「食のプラットフォーマー」として注目されるまでに会社を成長させている。ここでは、WannaEatの成長ビジョンやグループに与える影響などについて、宇野氏と牧本氏に語ってもらった。
※下記はベンチャー通信90号(2024年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「食べてみたい」を身近にする「食のセレクトショップ」事業

―WannaEatの事業内容について教えてください。

牧本:流行性や知名度といったブランド力のある料理を全国どこでも気軽に体験できる世の中を実現する、いわば「食のセレクトショップ」事業を展開しています。最先端の冷凍技術や保存技術を駆使して飲食店や商業施設など販売拠点となる提携施設に届け、現場での調理を極限まで省略化しながら、デリバリーや店舗でのテイクアウト、イートインにより全国各地のお客さまに提供する仕組みです。テレビやSNSで知った「食べてみたい」と思う料理を身近に体験できるようにし、世の中の「食の幸福度」を上げることが当社のミッションです。

―牧本さんが、グループに参画を決めた理由はなんだったのですか。

牧本:この業界においては、No.1にならないと「意味がない」と思ったのです。そう考えたとき、事業を最短で成長させるには大手企業と組み、その資金力や営業力、顧客基盤などを活用させてもらうことが最善の方法だと判断しました。また、間近で宇野さんの考え方や経営手法を学べることも大きな決め手の1つでした。

―U-NEXT HOLDINGS(※)としても、事業シナジーがあったと。

宇野:ええ。音楽配信を中心とする我々の店舗サービス事業では、オペレーションのDXや集客拡大など運営改善への総合的支援を手がけており、収益拡大はもっとも喜ばれるサービスにほかなりません。その方法論の1つに今はデリバリーがあり、牧本くんの事業は既存の飲食店や店舗・施設の新たな収益源になりえると期待したのです。

―宇野さんは、経営者としての牧本さんをどのように評価していますか。

宇野:「事業センスがあるな」と直感的に伝わってきました。顧客の課題や市場拡大の想定、そこへのタイミングやスピード感、そういったものを理論的というより感覚的にとらえていると感じました。私が知り合ったとき、牧本くんはまだ25歳でしたが、その年齢にしてはセンスが磨かれている「稀有な存在」だと当時から思っていましたね。

「計画は変化に追いつかない」

―WannaEatには、どのようなことを期待していますか。

宇野:当社では、「1兆円グループを目指す」と標榜する中で、象徴的な目標として100億円の企業を100社つくると宣言してきました。その意味では、WannaEatにもまずは売上高100億円、営業利益率10%を目指してもらいたいですが、あくまでも当面の目標に過ぎません。デリバリー以外の事業も考えると市場は相当に広がりますし、「どこかのタイミングで海外展開も」というのは、牧本くん本人も描いている絵です。食文化は海外に誇れる日本の強みですから、ぜひ挑戦すべきです。

牧本:日本の食文化はすでに評価が高いですが、そこには必ず匠の技や調理の熟練度が介在しますから、レシピを海外に持っていくだけでは味の再現はできません。本当に必要なのは、レシピではなく、調理を極限まで省略化する冷凍や保存の技術です。じつはすでに、握りたての鮨の味を忠実に再現できるレベルの冷凍技術は存在します。そうした圧倒的な優位性を持つ技術で差別化したソリューションのパッケージとして海外に展開し、食のインフラをグローバルに構築していきたいと思っています。ただし、今の急成長のフェーズにおいては、いくら計画を緻密に描いても「計画は変化に追いつかない」と思っていますので、目先の変化に素早く順応することにフォーカスし、事業のアクセルを踏み続けていきます。

―牧本さんの活躍は、「未来塾」の起業家候補生たちにも刺激になりそうですね。

宇野:起業家候補生のみならず、60年の歴史を持つ会社全体にとっても新しい価値観を持ち込んでくれています。外部人材の加入で普通起こるはずの拒絶反応が、WannaEatに対しては起きず、むしろ彼の会社への転属希望も出るほどです。きっと、牧本くんたちの事業に対する純粋さが周りに伝わっているのでしょう。多様性と統一感のほど良いバランスを模索している我々の組織論にも多くの示唆を与えてくれています。ベンチャー企業のグループインを「自由が奪われる」と否定的な向きもありますが、WannaEatではまったく異なることが現実に起きています。牧本くんには、外部人材が当社グループで活躍できることを示すモデルケースになってほしいですね。
PROFILEプロフィール
宇野 康秀(うの やすひで)プロフィール
1963年、大阪府生まれ。1988年に明治学院大学法学部を卒業し、株式会社リクルートコスモス(現:株式会社コスモスイニシア)に入社。わずか1年で退社し、起業を決意。1989年に株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)を設立し、代表取締役に就任。1998年、父の急逝を受けて株式会社大阪有線放送社の代表取締役に就任する。2009年、動画配信の株式会社U-NEXTを設立。 2017年、株式会社U-NEXTと株式会社USENが経営統合し、新たに発足した株式会社USEN-NEXT HOLDINGS(2024年4月1日より商号を株式会社U-NEXT HOLDINGSへ変更)の代表取締役社長CEOに就く。

牧本 天増(まきもと てんぞう)プロフィール
1997年生まれ、中国出身。幼い頃から中国と日本の語学、文化に触れながら育つ。2018年、学生時代に中国人留学生向けの進学塾を立ち上げ、1年で事業譲渡。その後、2019年にタピオカ屋『 OWL TEA 明大前店』を創業。1年で直営5店舗FC3店舗まで事業拡大。2020年6月、株式会社バーチャルレストランを創業。また、業界イメージ向上のため一般社団法人日本ゴーストレストラン協会も設立し、2022年9月、USEN-NEXT GROUPへ参画。2023年8月、社名を株式会社バーチャルレストランからWannaEat株式会社へ変更。

株式会社U-NEXT HOLDINGS(※)
設立2009年2月
資本金9,700万円(2023年8月31日現在)
売上高2,763億4,400万円(2023年8月期:連結)
従業員数4,905名(2023年8月31日現在:連結)
事業内容グループ会社の経営管理など(事業セグメント/店舗サービス事業、通信事業、業務用システム事業、コンテンツ配信事業、エネルギー事業)
URLhttps://unext-hd.co.jp
※2024年4月1日に株式会社USEN-NEXT HOLDINGSから株式会社U-NEXT HOLDINGSに商号を変更しました。
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