ジルミナ株式会社　代表取締役　荒井駿

顧客に最大限コミットするため、営業職をあえて設けない

―事業内容を教えてください。

　Web広告の運用代行をはじめ、ホームページなどの制作、SNSの運用代行といった、幅広いWebマーケティング支援を手がけています。当社は創業以来、新規顧客を開拓するための営業活動を行ったことがありませんが、ここ数年の売上は前年比2倍のペースで成長を続けるなど事業は好調に拡大しています。当社が提供するサービスによって、顧客は売上を伸ばし、次に当社へ発注する際に広告予算を増やしてくれる。そうしたサイクルが当社の成長につながっているのです。ある時期からは、社内に営業職を設けないことを会社の方針として固め、「営業をしないWeb広告代理店」を標榜しながら事業を展開しています。

―あえて「営業職を設けない」と決めたのはなぜでしょう。

　積極的な顧客開拓を行わないことでこそ、より質の高いサービスを提供できると考えたからです。もちろん、顧客の数が増えることは会社の成長に欠かせません。しかし、顧客の数と業務量にマーケターのキャパシティが追いつかなくなり、サービス品質の低下を招くのは絶対に避けたいと考えていました。また、顧客とのやりとりにおいてWebマーケティングの専門ではない営業担当者が介在することで、サービス提供のスピードが下がったり、コミュニケーションに齟齬が生じたりする可能性もあります。そこで当社では、営業活動に特化した職種をあえて設けず、マーケターが既存顧客に最大限コミットできる体制で自社の成長を目指す方針を固めたのです。当社ではこのほかにもう一つ、顧客と向き合うに当たりこだわっている大事なことがあります。

目に見える具体的な形で、顧客への感謝を示したい

―それはどのようなことですか。

　当社のコアバリューの一つに掲げる「Amazing」という理念の実践です。この理念には、「求められている以上の価値を提供し続け、驚くほどの感動を顧客に与える」という意味を込めています。ただし、これは単なる「精神論」ではありません。実際に言葉で説明したり、目に見える形で示したりできることで、顧客をびっくりさせようというものです。たとえばこれまでには、顧客の売上をより大きく伸ばすために、「本来有料となるオプションの施策を無償でサービスする」といった「驚き」を提供したことがありました。「驚き」の内容がどのようなものであるかは社員のアイデア次第です。発注いただいた仕事を完遂することは当然として、それにプラスアルファで、顧客に喜んでもらえる工夫を考えるよう社員につねづね伝えています。

―そうした理念の実践にこだわるのはなぜですか。

　「いま目の前にいる顧客に、感謝の気持ちをしっかり示したい」という想いがあるからです。話は創業当初にさかのぼりますが、当時のジルミナは、資金や時間に余裕がないなかでも、遠方の顧客との打ち合わせを毎回、対面で行うよう心がけていました。それは、数多くある企業から当社を選んでくれた顧客に対し、感謝を示すために取っていた行動でした。そうした行動は、感動を伴って顧客の目に映っていたようです。あるときから、その顧客は当社にリピート発注をしたり、ほかの企業に当社を紹介したりしてくれるようになりました。そうした経験を通じ、感動を与えることはお互いハッピーになることだと私は実感するようになりました。それ以来、会社が将来どれだけ大きくなろうとも、目の前の顧客に感謝を伝えることを忘れないよう「Amazing」という理念をコアバリューに掲げ、その実践にこだわり続けているのです。

―今後のビジョンを聞かせてください。

　企業が抱えるさまざまな悩みに対し、解決を担える会社にジルミナを成長させていきたいです。Webマーケティングによる課題解決と、感動の提供を続けていくことで、「当社にかかわる人たちをハッピーにしていく」ことが当社のビジョンです。いまのジルミナは、創業当時と比べてできることが大きく増えましたが、このビジョンの実現により近づくために、今後は新たな社員の採用も積極的に行いながら、一緒に顧客の「感動」を追求していく方針です。

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