INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
「宅急便」の生みの親
ヤマト運輸株式会社 元会長 小倉 昌男
※下記はベンチャー通信7号(2003年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―最近の学生を見てどう思いますか。
小倉:一般論として言うと、あまり勉強していないという印象を受けますね。知識偏重の受験制度が大きな問題なんだと思います。受験をしなければならないから受験知識に偏ってしまって、基本的な教養が身についていない。私の時代では教養を身につけているのが当たり前で、身についていないと恥ずかしかった。また教養は主に学校でなく個人で勉強していました。あと受験制度が良くないのはペーパーテストの存在。暗記したら良い成績がとれるから、記憶力のいい人が勝ってしまい、創造的考えを持っている人が勝てない。これからは、創造的考えを持った人間が勝つ社会にしなければならないと思います。
―経営者に必要な資質とは、どのようなものとお考えですか。
小倉:高い目標を設定して、それを組織の全員に徹底できることが大切ですね。そのためには、コミュニケーション能力が絶対に必要です。また、時代の変化や環境の変化に敏感にならなければなりません。新しい条件のもとで、それに合った新しい事業を展開していくのが経営者です。そして、新しい仕事をやるには考えて考えて考え抜いた上で、「必ず成功する」という確信を持って実行に移す。その後、出てきた結果を何度も検証していき、修正していくのです。初めから完璧な商品なんて作れない。何度も挑戦していき、どんどん修正していけばいいわけです。つまり、やってみなければわからないんですね。やればわかる。やってみて分かったことを直す。そして最後には完全な商品に仕上げる。これが原則です。
―最後に、起業家を目指す若者にメッセージをお願いします。
小倉:まず、志を高く持ちなさいということを言いたい。正直、志の低い人はダメです。また人間的にも優れていないといけない。人格・品格の無い人に起業は無理です。限りのある短い人生なんだから、品格高く志高く生きて欲しいですね。ベンチャーで成功するしないは、たいしたことではありません。成功して得られるお金なんて儚いものです。それよりも、成功するために必死に勉強したり、努力したりすることの方が大事です。ですから、若い人は高い志を持って、一生懸命努力してほしいです。頑張ってください。
PROFILE
プロフィール
小倉 昌男(おぐら まさお)プロフィール
1924年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、大和運輸(現ヤマト運輸)に入社。創業者である父の跡を継ぎ、1971年に社長に就任。「宅急便」を考案し、瀕死のヤマト運輸を救った。その後、1993年に私財24億円を投じて、ヤマト福祉財団を設立。1995年にヤマト運輸の会長を退職。全国4,000カ所を超える精神・身体障害者のための無認可小規模事業所の支援をはじめる。著書に「経営学」(日経BP社/1999年)、「経営はロマンだ!~私の履歴書~」(日本経済新聞社/2003年)などがある。
企業情報
資本金 | 500億円 (平成17年11月1日現在) |
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従業員数 | 13万4,121名(平成19年3月15日現在) |
事業内容 | 宅急便・クロネコメール便を中心とした一般消費者・企業向け小口貨物輸送サービス事業 |
URL | http://www.kuronekoyamato.co.jp |
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