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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社Crane&I 代表取締役社長 遠藤 健太

「感謝・成長・恩返し」の理念で会社を成長に導くITベンチャートップの想い

メラメラとたぎる情熱を灯し続け、終わりなき成長をともに追求したい

株式会社Crane&I 代表取締役社長 遠藤 健太

システム開発の受託事業などを展開し、今年で11期目を迎えたCrane&I。同社代表の遠藤氏によると、「会社の強みは専門的な知見や技術力」にあるという。そうした強みを背景に、「ITインフラの分野で実績を重ねながら、業界での存在感を着実に高めている」というが、同氏は「成長の原動力は、期待をかけてくれる人たちに恩返しをしたいという想いと情熱にある」と語る。それは一体、どういうことなのか。今後のビジョンなどとともに、同氏に詳しく聞いた。
※下記はベンチャー通信91号(2024年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

自らの成長による恩返しが、評価される会社に

―事業内容を教えてください。

 おもに、エンジニアが顧客先に常駐して技術力を提供する「システムエンジニアリング事業」を手がけています。この事業は創業以来、サーバや情報ネットワーク、クラウド、セキュリティといった「ITインフラ」分野において実績を重ねているのが特徴で、業界のなかでも特に当社が強みを発揮できる事業と自負しています。当社はこのほかにも、顧客のサービスを社内で開発する「受託サービス事業」や、これらの事業で蓄積してきたナレッジを提供する「教育事業」も展開しています。

 創業時は私1人だけの会社でしたが、いまでは150名以上のメンバーを抱え、官公庁のプロジェクトにも多数参画するほどの実力と信頼を積み重ねてきました。

―遠藤さんは、どのような経緯で会社を立ち上げたのですか。

 きっかけは、「がんばった人が真っ当に評価される会社」をつくりたいと考えたことでした。私が初めて正社員として働いたのは、設立間もないITベンチャーでした。その会社は、ITの知識がない私にいろいろなチャレンジの機会を与えてくれました。そこで私は、ITインフラのエンジニアとしてキャリアを歩み始めたのです。エンジニアの経験を積んだ後は営業の仕事にもチャレンジし、最終的には100名規模に拡大した会社の営業全体を統括するまでになりました。会社から期待され、自身を鼓舞してきたことで勝ち取った私の「居場所」でした。自分にさまざまな機会を与え、成長させてくれたその会社にはとても感謝していました。ただその一方で、大きな責任を託されていたからこそ、もっともっと活躍を認められたいとも感じていました。次第に私は「成果を出した社員の努力が報われる会社を自らの手でつくりたい」と考えるようになったのです。この起業というチャレンジは、Crane&IのDNAとも言える「感謝・成長・恩返し」という理念につながる原体験にもなりました。

―「感謝・成長・恩返し」の理念とはどのようなものですか。

 起業という大きな挑戦を経て自らを成長させることで「期待してくれた人たちへの恩返し」につなげるという想いが、この理念の根幹にあります。最初に私に期待をかけてくれたのは、教育を通して私を指導してくれた母でしたが、それと同様に私自身も、仲間たちに期待をかけています。そして、仲間たちを信じ、熱意や愛情を注ぎ続けることで「感謝・成長・恩返し」の価値観を広げていきたいと考えているのです。

「感謝・成長・恩返し」を信念に、目指すべき会社像も変わった

―それから、自身の成長をどのように振り返っていますか。

 成長することにはつねにこだわり続けてきました。1人で起業してからの約10年間、仲間を増やしながら、会社の事業規模も連続増収で拡大させてきました。昨日よりも今日、今日よりも明日、自分を伸ばしていくことで、期待してくれた人、ひいては社会への恩返しにつながっていく。そう信じながら、限界を設けることなく、ひたすら自分やCrane&Iの成長を追求してきたのです。やがて「感謝・成長・恩返し」の考え方は、Crane&Iに加わってくれた仲間たちにも広がり、仲間たちの成長に伴い、私が目指す理想の会社像も変わっていきました。

―どのように変わっていったのですか。

 「がんばった人が評価される会社」づくりを第一義に考えていた創業当初は、「大きな成果を出して、お金をたくさん稼ごう」と言って、従業員のモチベーションを高めようとしていました。しかし、会社を経営する立場である私と、そうではない従業員の間には、どうしても成果の追求に対する温度差が生まれ、「新たな従業員が加わっては次々と辞めていく」という状況が続くようになってしまいました。そこで私は改めて、仲間への感謝や「恩返しをしたい」、「仲間たちの努力が報われるような循環をつくりたい」という想いをより素直に表現することにし、「みんなが働き続けたいと思える会社像」に軸足を移していったのです。私は、Crane&Iを仲間たちとともに「人に自慢できるような会社」、「入社して良かったと思える会社」にしたいと改めて考えるようになりました。

―実際に、社内で変化はありましたか。

 「魅力的な会社」を追求した結果、組織が強固になり、会社の成長につながるというサイクルが生まれました。我々が注力してきたITインフラ分野の中でも、近年は特に、「クラウド技術×上流工程」の顧客ニーズに応じたコアバリューにこだわり、専門性を高めてきたことで、仲間のスキルが上がり、お客さまへの提供価値も高まっていきました。また、社歴や年齢にかかわらず、チャレンジ精神のある若手や力のあるベテランを積極的に抜擢してきたことで、仲間が挑戦できる会社としての仕組みづくりに拍車が掛かりました。

 ただし、私が考えるCrane&Iの成長は、単に業績を伸ばすことだけではありません。企業の成長は仲間があってのものですから、従業員の満足度を高めることにも、私はさまざまな取り組みを通じて力を入れ続けてきました。

―具体的に、どのようなことに取り組んできたのですか。

 たとえば、従業員同士の交流を深めるために食事会の費用を補助する「肉・酒・魚制度」をはじめとした福利厚生の充実や、社員が自身のさらなる成長を追求するための教育体制の構築、仲間の活躍をみんなで称えあう「スペシャルサンクス」の文化、仲間を孤独にさせない仕組みづくりなど、組織環境を多面的に整えてきました。その結果として、仲間の満足度を示す指標の1つであろう従業員定着率は「90%以上」と、業界でも高いと言える水準まで向上しました。そして、いつしか従業員数は100名を超えるようになりました。

 また、その時期に前後して、会社の理念や文化をより多くの仲間と共有する必要があると考えるようにもなりました。そこで、「感謝・成長・恩返し」という価値観をより普遍的なものとするため、今年、新たにCrane&Iの使命や展望、信念を示すミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)を策定しました。

情熱をもった仲間たちが一丸となり、社会に価値を提供

―どのような内容ですか。

 ミッションには、「無数の情熱で応える」という言葉を掲げました。ここで言う情熱とは、「感謝」や「愛情」、「恩返し」、「理想」など、人々に行動を起こさせるような、あらゆる熱い感情の根源を意味しています。こうした熱い感情をもった多くの仲間が一丸となって、社会に価値を提供していくという、当社の果たすべき使命を表しているのです。

 ビジョンには、「千羽を束ねる成長カンパニー」を掲げました。当社の社名やロゴのモチーフとしている「Crane=鶴」は、千羽鶴となることで、周知の通り「願いの成就」、「団結」を意味します。ここに着想を得て、このビジョンには、それぞれに違う情熱や多様性をもった個人が団結して、組織全体の終わりなき成長につなげられる会社にしたいという想いを込めました。

―バリューについても聞かせてください。

 「社会の熱源になる」、「目的を成就させる」、「仲間たちを信じる」の3つを、バリューとして策定しました。これらは、胸に抱く熱い想いを原動力に具体的な行動を起こし、顧客や社会が求める成果につなげること。さらに、仲間を信じ、連帯、協力することによってシナジーを生み、より大きな価値を創造していくことを、大切にすべき価値観として表現しました。

 今回策定したMVVには、「情熱」、「熱源」という言葉を盛り込んでいますが、当社のメンバーには、胸にたぎる、そうしたメラメラとした熱い想いをぜひ大事にしてほしいと考えています。誰だって、ときには困難にぶつかり、諦めたり、道を逸れたりしてしまうこともあると思います。そうしたときでも、Crane&Iは、その熱い想いを灯し続け、困難を乗り越えられるような環境を整えていきます。当社のMVVは、そうした私の決意を示すものでもあります。

―今後、会社をどのように成長させていきますか。

 今後は、開発分野やセールスコンサルティング、自社サービスの開発など、新たな領域にチャレンジしながら仲間の活躍の場を広げ、事業規模の拡大につなげていきたいと考えています。実際に当社には、熱い想いをもった仲間が、新しく立ち上げたグループ会社の経営を託され、自らのさらなる成長を目指して活躍するケースも出てきています。胸にたぎる熱い想いを自分の成長に変えたいと考えるかたは、ぜひCrane&Iの仲間に加わってください。
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