INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
内なる破壊と創造を繰り返せ
マネックスグループ 代表取締役社長CEO 松本 大
松本は東大法学部を卒業後、外資系投資銀行に入社。その後、あのゴールドマン・サックスに転職、ゴールドマン史上最年少でパートナー(共同経営者)に就任する。そしてソニーとの共同出資でマネックス証券を設立。2000年には設立わずか2年目にして東証マザーズに上場を果たした。しかし、取材中の松本はその華麗なキャリアからは想像できないほど気さくに話す。そして、話す内容も堅実かつ奥深い。今回は松本に自身の“起業家論”を聞いた。
※下記はベンチャー通信34号(2008年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―松本さんは数多くのベンチャー企業を見てきたと思いますが、"成功する起業家"の共通点を教えてください。
松本:いくつかありますが、一番大事なのは志だと思います。そもそも何のために事業をしているのか。継続して事業をやるためには高い志が必要です。単にお金儲けが目的で事業を始めてしまっては、途中で事業がうまくいかなくなると簡単にあきらめてしまいます。反面、志がしっかりしていれば、途中でブレることもありません。高い志は航海の時の北極星のように自らを先導してくれることでしょう。ベンチャー企業によくあるのが、会社の方向性が途中でブレてしまい、いったい何の会社か分からなくなってしまうことです。そうやって消えていくベンチャー企業をたくさん見てきました。そして創業時の仲間も大事です。起業家一人の力で事業を軌道に乗せることはできません。数名の優秀な仲間が集まって、お互い支え合いながら会社を発展させていかなければいけない。だから創業時にどういう仲間が集まっているかは非常に大事ですね。また意外に思われるかもしれませんが、私は起業家の運も大事な要素だと思います。成功する起業家に共通しているのが運の良さです。
―運はどうすれば良くなるんですか。
松本:その人が生まれ持った運もあると思いますが、運を良くしたいなら運のいい人たちと付き合うことが大事だと思います。運のいい人は、運のいい人同士で付き合います。だから常日頃、誰と付き合うかは非常に重要ですね。コミュニティにも"色"ってあるじゃないですか。損得勘定だけでお互い付き合っているコミュニティもあれば、目先の損得勘定で集まっていないコミュニティもある。人の集まりにも"色"ってあると思うんです。同じように運のいい人たちのコミュニティもあれば、運の悪い人たちのコミュニティもあります。だから、なるべく運のいい人たちのコミュニティに入ればいいと思います。
―他には何か共通点はありますか?
松本:他にはそうですね。アピールする力ですね。どれだけ高い志を持っていても、それを効果的にアピールする力がなければ事業は立ち上がりません。事業を成功させるためには、先程も言ったように同志が必要です。その同志を集めるために起業家はアピール力を持っていないといけない。事業拡大のためには、同志の輪を積極的に広げる必要があります。大企業の経営者であれば、すでにヒト・モノ・カネが揃っているので、実務的な処理能力さえあれば務まるかもしれません。しかし起業家はゼロからヒト・モノ・カネのすべてを生み出さなくてはいけない。何もないところから事業を立ち上げるわけですから、積極的に自分の志をアピールしていかなくてはいけないんです。起業家には表現力と訴求力の素質がないといけないと思いますね。そして、いちど事業を立ち上げたら継続することです。途中であきらめてはいけない。起業家も一人の人間なので途中であきらめたくなる時もあると思います。でも、決してあきらめてはいけない。地道に継続することで、いずれ突破口も見えるはずです。 また、落ち込んでいる時にその姿を社員やお客さまに見せてはいけない。常に走っている姿、前のめりになっている姿を見せるんです。起業家はどんな時も常に前傾姿勢を見せていなくてはいけません。
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