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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社ONE-TECH 代表取締役社長 髙木 駿

「いつでも帰れる居場所」があるITベンチャーを起業したトップの志

エンジニアの卵が羽ばたく日まで、「社員は家族」だから見捨てない

株式会社ONE-TECH 代表取締役社長 髙木 駿

エンジニアの仕事に興味があっても、「自分はIT未経験だから無理かもしれない」と不安に思う人もいるだろう。ONE-TECHは、そうした未経験スタートの若手でも、エンジニアとして活躍できるようになるまで支え続けてくれるITベンチャーだ。「当社の研修を受ければ、未経験者も自信をもって現場に出られる」と語る同社代表の髙木氏に、若手の育成方法や今後のビジョンなどを聞いた。
※下記はベンチャー通信92号(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

顧客がダメ出しする社員でも、私たちは可能性を信じ続ける

―業務内容を教えてください。

 サーバやネットワーク機器が安定稼働しているか監視したり、開発中のスマートフォン向けゲームが意図した通りに動作するかを確認したりするエンジニアを顧客企業に派遣するのが主事業です。当社への新入社員のうち、約98%がIT未経験でのスタート。そうした社員を約1ヵ月で育成し、顧客のプロジェクトに参画してもらいます。

―未経験者をどのように育てていますか。

 入社後は「IT基礎」や「エクセルの基本操作」など初歩からの技術研修を受講してもらいます。それに加え、ビジネスメールの書き方や「相手の目を見て挨拶する」などコミュニケーションに関するマナー研修も用意。研修で技術スキルを身につけるよりも、配属先で先輩エンジニアとコミュニケーションを図り、教えてもらったほうがエンジニアとしての成長が早いからです。

 基礎知識を学んだ後は、資格取得に向けた勉強を奨励しています。情報処理の国家資格「ITパスポート試験」の受験を義務付け、エンジニアの8割超が取得。そして「情報処理技術者試験」「CCNA」など、より高難度のIT系資格の取得に取り組んでもらうため、取得者には資格手当ではなく、年収が大きく上がる「基本給の最大5万円アップ」で報いています。ほかに、学習環境の整備にも取り組んでいて、社内には講師が2名常駐。社員は気軽に質問できます。

―未経験で入社した後、第一線で活躍しているメンバーの事例を教えてください。

 携帯電話ショップの販売員だった20代男性のケースを紹介します。入社時点では、コンピュータやネットワークの知識はほとんどない状態でしたが、当社の研修を受講してITパスポートを取得。いまは、通信基地局間で電波が正しくやり取りされているかを監視する現場で、通信品質部門のリーダーを務めています。しかし、じつは、彼は当初、仕事をなかなかおぼえられず、お客さまから「担当を交代させてください」と言われてしまったことがありました。

―どのようにしてその社員をフォローしたのですか。

 まず、彼に会うために、私自身が現場に出向きました。近くのカフェで彼と話し合うとき、私は「絶対に彼を否定しない」と決めていました。「お客さまからダメ出しされても、私たちは社員の可能性を信じ続けなければいけない」と考えているからです。以前、私が彼の配属先の上長と話したところ、「仕事ぶりは問題だが、ミスをしたらすぐに報告してくれる。正直ですね」と評価していました。そこで、私が彼に「あなたの誠実な姿勢は配属先の上長も認めてくれているよ」と伝えると、「もう少しがんばってみようと思います」と言ってくれたのです。そこで、私は「自分でわかったつもりになっていた点もあいまいにせず、上長に聞いてみよう」と、具体的にアドバイス。その後、彼は変わりました。細かな点でも上長に積極的に質問して、仕事への理解度を深めることができるようになり、業務をしっかりこなせるように。現場の上長の評価も上がり、お客さまは交代の要請を取り下げたばかりか、彼をリーダー職に抜擢してくれるまでになりました。

 このように当社は、エンジニアが離脱しないよう全力で支えています。その一環として、月に2回、営業スタッフを中心に各エンジニアの業務内容や心身状況、現場からの指摘などを会議で共有し、派遣後のエンジニアの成長ぶりの把握に努めています。

エンジニアを孤立させず、会社全体でフォローする

―ONE-TECHがそこまで社員に寄り添うのはなぜでしょう。

 社員は「家族」だからです。「家族」は、単なるビジネス上の付き合いではなく、関係を切れない間柄ですよね。ですから、当社は社員を見捨てるようなことはしません。また、当社では「家族」である社員が、いつでも帰って来られる「居場所づくり」も大事にしています。毎週金曜日の夜、配属先での業務終了後に、東京・渋谷にある当社オフィスに社員に「帰って」きてもらい、お酒を飲みながら、仕事やプライベートも含め、さまざまな話をして交流を深めています。孤立しがちな客先常駐のエンジニアを会社全体でフォローしているのです。

―今後のビジョンを教えてください。

 2027年度までに売上高10億円、従業員500名を目指します。また、受託開発の案件も受注したいです。少しでも「エンジニアの仕事に興味がある」という人は、ぜひ当社に来てほしいですね。
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