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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

ゴエンキャピタル株式会社 代表取締役 前川 拓哉

創業以来、成約件数が毎年倍増している注目の専門家集団

M&A後の支援にもこだわりを持つ、ゴエンキャピタルの強みに迫る

ゴエンキャピタル株式会社 代表取締役 前川 拓哉

仲介会社として、譲渡企業と譲受企業のマッチングを図るだけでなく、M&A後も、譲渡企業のパートナーとして支援をしていくゴエンキャピタル。このページでは、同社の譲渡企業に対する支援事例を紹介する。高知県に本拠を構えるアイネッツコムは、M&Aによって年商約500億円の上場企業のグループ会社となった。同社代表の村上氏に、M&Aが成約にいたった経緯などを、実際に同社を支援したゴエンキャピタルの石田氏を交えて聞いた。
※下記はベンチャー通信92号(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
株式会社アイネッツコム
代表取締役
村上 加良子むらかみ かよこ
1963年、高知県生まれ。1988年、株式会社アイネッツコムの前身であるライフスタイルショップの代表取締役に就任。2002年に人材請負部門を開設し、その後、ITに特化した人材派遣業を展開。2005年、有限会社アイネッツコムに社名変更し、2007年、株式会社に組織変更する。
ゴエンキャピタル株式会社
M&Aコンサルタント
石田 豪いしだ ごう
1991年、大阪府生まれ。2015年に大阪教育大学を卒業後、大手食品会社に入社し、営業を担当。2019年、大同薬品工業株式会社に入社し、中堅・中小企業から上場企業向けまで幅広く提案営業を担当し、各企業の課題解決に向き合う。2023年、ゴエンキャピタル株式会社に入社。

10年先の会社の姿を憂慮し、M&Aによる譲渡を模索

―アイネッツコムの事業内容を教えてください。

村上:ITに特化した、エンジニアの派遣業をメインに手がけています。高知県と香川県高松市にて、システム会社に直接当社のメンバーを派遣したり、大手電機メーカーを通じて自治体に派遣したりしています。一番人数を割いているのは自治体で、自治体システム標準化(※)にともなう開発や保守などを担当しています。
※自治体システム標準化 : 自治体の基幹システムにおいて、住民サービスに直結する20業務を、国の示す仕様に合わせた標準化システムへ移行する取り組み

―なぜ、M&Aを実施して会社を譲渡しようと考えたのですか。

村上:当社が地方の小規模会社ということもあり、ここ5年ほど若手人材の採用に苦戦していました。社員の堅実な働きぶりが評価され、当社はおかげさまで毎年売上を伸ばしており、離職率も低いです。しかし、10、20年と働き続けてくれている社員の年齢層が高くなるにつれ、「10年後の会社はどうなっているか」を考えると、かなり厳しい状態になることが予想できました。そんなおり、私の家族が病気になったことで、何ヵ月も経営に携われない状況が続き、実質ひとりで会社を経営していくのはムリだと痛感しました。そこでM&Aを模索し、十数社の仲介会社から提案を受けたなかの1社がゴエンキャピタルさんで、担当が石田さんだったのです。

石田:最初の面談では、家族の病気のことによる不安に加え、取引先や従業員が安心できるような譲受企業を見つけたいという村上さんの想いがヒシヒシと伝わってきました。そのため、できるだけ想いに沿えるような譲受企業を提案しようと考えました。

―石田さんは、どのようなプロセスを経て譲受企業を提案したのですか。

石田:採用面の強化や取引先と従業員の安心感を考慮すると、大手企業が良いと考えました。ただ、単に大手企業というだけでなく、アイネッツコムさんの強みや経営方針と高い親和性を持つ企業を見極めるように努めました。まず、アイネッツコムさんは自治体のシステムの開発・運用に強みがあるので、自治体と関連がある点を重視しました。なにより、村上さん自身が高知県を中心に幅広いネットワークを持ち、地域活性化に取り組まれていたので、それが活かせる企業といった観点で探しました。結果、提案したのが、年商約500億円の電気機器メーカーです。自治体との取り組みがあるほか、全国展開している一方で、四国で高知県のみ拠点がなかったため、お互いにメリットがあり、最適なマッチングが実現できるのではないかと考えたのです。

村上:石田さんから「大手企業のなかから探します」と聞いた際、「当社のような小規模会社を必要とする大手企業があるのか」と、正直懐疑的でした。しかし、高知県に拠点がないと聞き、それなら確かに私のネットワークが活かせ、Win-Winの関係が築けるのでは、と考えました。先方と対面した際は、社長自ら出てきてくださるなど誠意を感じましたし、M&Aに前向きでした。そこで、数ある仲介会社のなかからゴエンキャピタルさんと一緒にM&Aを進めていくことに決め、当面は私が代表取締役を務める形で、その会社に譲渡することにしたのです。

相談に乗ってもらうなど、譲渡後も支援を受けている

―今回のゴエンキャピタルとの取り組みに、どのような価値を感じていますか。

村上:当社にとって理想のマッチングを実現してくれたのはもちろん、譲渡額の交渉など細かい調整を当社に代わって先方と行ってくれたことに価値を感じています。最近、石田さんの上司と話す機会があったのですが、土日も使って当社の強みを活かせる譲受企業を探してくれていたとのことでした。石田さんがいなければ、M&Aをあきらめていたかもしれません。また、ゴエンキャピタルさんは、M&A後もフォローしてくださるとのことでしたが、石田さんにはほぼ毎日電話して、さまざまな相談に乗ってもらっています。今後は、大手企業のグループ会社として、採用を強化しつつ、グループ全体の売上にも貢献していきたいですね。そのために、今後もゴエンキャピタルさんの力をお借りしたいと思います。

―今後、アイネッツコムをどのように支援していきますか。

石田:社外のパートナーとして、グループ内においてアイネッツコムさんならではの価値が発揮できるよう、引き続き村上さんのフォローをしていきます。また、今後必要になってくる村上さんの資産運用の提案をしているところで、M&A後も末永いお付き合いをしていければと考えています。
株式会社アイネッツコム企業情報
設立1980年12月
資本金2,000万円
従業員数18名
事業内容ITに特化した派遣業
URLhttps://www.inetscom.jp/
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