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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
Special Feature
ベンチャー経営飛躍の「条件」
日本オラクル株式会社 / RPAホールディングス株式会社 / BoCo株式会社 / ひので監査法人 / エクスポネンシャル・ジャパン株式会社
Sponsored 日本オラクル株式会社
民間の信用調査会社、東京商工リサーチが発表した最新統計によると、日本の年間新設法人数は13万1,981社(2017年)と前年比3.1%増を記録し、調査以来初めて13万社を超えたという。
自らの革新的な技術・アイデアをもとに、新たなビジネスを世に問う新興ベンチャー企業であるならば、そのすべてが本来的に「成長」をめざしていることだろう。
だが一方で、別の調査では、年間8,400件あまり(同年)の倒産数があることも伝えている。
企業の成長と衰退をわけるものとは、はたしてなにか。本特集では成長企業の事例や識者たちへの取材をもとに、ベンチャー企業が成長を手にするために必要な「条件」を探る。
自らの革新的な技術・アイデアをもとに、新たなビジネスを世に問う新興ベンチャー企業であるならば、そのすべてが本来的に「成長」をめざしていることだろう。
だが一方で、別の調査では、年間8,400件あまり(同年)の倒産数があることも伝えている。
企業の成長と衰退をわけるものとは、はたしてなにか。本特集では成長企業の事例や識者たちへの取材をもとに、ベンチャー企業が成長を手にするために必要な「条件」を探る。
※下記はベンチャー通信75号(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
マザーズ市場で顕著な設立5年以内での上場増加
生まれながらにして成長を使命として課せられているベンチャー企業。その成長性を評価しようとするならば、新規株式上場(IPO)実績は、重要な指標のひとつになるだろう。近年、ベンチャー企業のあいだでは、このIPO機運が高まりを見せている。「高い成長性を有するベンチャー企業向けの株式市場」とされる東京証券取引所(東証)マザーズ市場のIPO案件数推移を見てみると、特にその傾向は顕著だ(右図)。本誌『ベンチャー通信』編集部の調べによると、同市場でのIPO件数は2011年以降増加基調が続き、ここ数年は高水準に推移。昨年は63件と過去最高実績を記録している。
さらに、編集部では詳細に内容を分析するなかで、ひとつの傾向に注目した。それは「企業設立から上場までの期間の短縮化」である(下図)。とりわけ過去3ヵ年を見ると、設立5年以内での上場件数の伸びが目立つ。この傾向について、会計士として多くのベンチャー企業の経営支援に携わってきた、ひので監査法人の羽入敏祐氏はこう分析する。
「インターネット技術の発達で、企業の成長スピードが格段に上昇しました。新サービスが生まれては、あっという間に広がり、市場を一気に支配するように。そのため、ビジネスモデルの構築や成長戦略の策定といった企業の経営判断には、さらなるスピードと正確性が求められています。それが、結果として早期の上場増加につながっているのでしょう」
さらに、編集部では詳細に内容を分析するなかで、ひとつの傾向に注目した。それは「企業設立から上場までの期間の短縮化」である(下図)。とりわけ過去3ヵ年を見ると、設立5年以内での上場件数の伸びが目立つ。この傾向について、会計士として多くのベンチャー企業の経営支援に携わってきた、ひので監査法人の羽入敏祐氏はこう分析する。
「インターネット技術の発達で、企業の成長スピードが格段に上昇しました。新サービスが生まれては、あっという間に広がり、市場を一気に支配するように。そのため、ビジネスモデルの構築や成長戦略の策定といった企業の経営判断には、さらなるスピードと正確性が求められています。それが、結果として早期の上場増加につながっているのでしょう」
企業の成長スピードに経営管理体制が追いついていない
こうした傾向は、ベンチャー企業の華々しい成功事例を生み出している反面、さまざまな課題も浮き彫りにしている。羽入氏は、こうも指摘する。
「一般論として、IPO準備企業がもっとも苦労するのが、会計処理をはじめ、財務、人事、労務といった一連の経営管理体制の整備です。事業を成長させながら、その一方で『企業情報の正確な開示』や『正確で迅速な財務会計処理』を担保する経営管理体制の構築は、ただでさえ大変な作業。それをきわめて短期間で構築しなければならないとしたら、ときに不備が生じることも容易に想像できます」
実際に、会社の急成長・急拡大にともなう業務量増大のしわ寄せによって、管理部門の離退職に苦しんでいる企業は多い。要は、企業の成長スピードに、経営管理体制の構築が追いついていないのだ。昨今、指摘される「上場審査の厳格化」も、こうした「IPO準備企業における経営管理体制の脆弱化という文脈でとらえるべき」と指摘する識者は少なくない。
「一般論として、IPO準備企業がもっとも苦労するのが、会計処理をはじめ、財務、人事、労務といった一連の経営管理体制の整備です。事業を成長させながら、その一方で『企業情報の正確な開示』や『正確で迅速な財務会計処理』を担保する経営管理体制の構築は、ただでさえ大変な作業。それをきわめて短期間で構築しなければならないとしたら、ときに不備が生じることも容易に想像できます」
実際に、会社の急成長・急拡大にともなう業務量増大のしわ寄せによって、管理部門の離退職に苦しんでいる企業は多い。要は、企業の成長スピードに、経営管理体制の構築が追いついていないのだ。昨今、指摘される「上場審査の厳格化」も、こうした「IPO準備企業における経営管理体制の脆弱化という文脈でとらえるべき」と指摘する識者は少なくない。
「IPO難民」にならないために
IPOをめざす成長ベンチャー企業にとって、財務会計処理を中心とした経営管理体制がいかに重要か。これを別の観点から説く指摘もある。それは昨今、IPO準備企業が監査契約先を見つけられない問題、いわゆる「IPO難民増加」という観点からだ。あるIPO支援企業の代表は、こう語る。
「IPO難民問題の直接的な要因は、監査法人の人手不足ですが、この問題は今後数年続くと考えられます。そのため、IPO準備企業は監査法人が契約したくなる会社になる必要があります。経営者が実行すべき具体的な打ち手としては、公開直前々期より前段階で、経営管理体制の構築にいち早く着手し、『税務会計から企業会計への転換』や『内部統制などのシステム・組織整備』を実現することです」
こうした経営管理体制は、IPOをめざす企業だけに必要なものではない。資金調達やグローバル展開の支援を通じて多くのベンチャー企業を成長へと導くエクスポネンシャル・ジャパン共同代表の齋藤和紀氏は指摘する。
「成長企業は早い段階でグローバル展開を意識するものですが、海外に子会社をつくった途端、言語はもちろん、通貨や税制などの違いに直面し、混乱に陥る企業は多い。そのとき、初めて経営者は経営管理体制の重要性に気づきます。また、資金調達に乗り出す際も、社内の資金の流れが正確に管理されているかどうかは、投資家が企業を評価する重要なポイントのひとつです。ビジネスの上流から下流まで経営行動を一貫して把握する仕組みをもつベンチャー企業は、成長性が高いと判断されるケースが多いですね」
そこで、次ページからは、経営管理体制をいち早く強化したことで、その後の成長に道筋をつけた注目のベンチャー企業2社を取材。ベンチャー成長の「条件」について考えてみたい。
「IPO難民問題の直接的な要因は、監査法人の人手不足ですが、この問題は今後数年続くと考えられます。そのため、IPO準備企業は監査法人が契約したくなる会社になる必要があります。経営者が実行すべき具体的な打ち手としては、公開直前々期より前段階で、経営管理体制の構築にいち早く着手し、『税務会計から企業会計への転換』や『内部統制などのシステム・組織整備』を実現することです」
こうした経営管理体制は、IPOをめざす企業だけに必要なものではない。資金調達やグローバル展開の支援を通じて多くのベンチャー企業を成長へと導くエクスポネンシャル・ジャパン共同代表の齋藤和紀氏は指摘する。
「成長企業は早い段階でグローバル展開を意識するものですが、海外に子会社をつくった途端、言語はもちろん、通貨や税制などの違いに直面し、混乱に陥る企業は多い。そのとき、初めて経営者は経営管理体制の重要性に気づきます。また、資金調達に乗り出す際も、社内の資金の流れが正確に管理されているかどうかは、投資家が企業を評価する重要なポイントのひとつです。ビジネスの上流から下流まで経営行動を一貫して把握する仕組みをもつベンチャー企業は、成長性が高いと判断されるケースが多いですね」
そこで、次ページからは、経営管理体制をいち早く強化したことで、その後の成長に道筋をつけた注目のベンチャー企業2社を取材。ベンチャー成長の「条件」について考えてみたい。
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